釘と金槌、補修剤と補強の金具を手に、学園の西に東に奔走する日々。

彼女の顔は、いつも粉っぽく汚れていたように思う。

年頃の娘だというのに、指先だって罅割れて荒れ放題で。

化粧やネイルアートとは無縁の毎日だった。

女子に向いてない、損な役回りだと考える者も少なくない。

しかし。

おんこはそんな日々を楽しんで過ごしていた。

汗に塗れ、埃で汚れ、修繕費で生徒会長と揉めて、忙しさで愚痴をこぼしつつも。

おんこは毎日、校舎の修理を楽しんでやっていたように思うのだ。