私と俺とバレンタイン争奪戦


翔は狭い裏道へ入っていく。
私も不安を覚えながら彼の後をついていった。

「――じゃあ、出すもん出そうか」

「は?」

いやいや、意味分かんないから。

もしかして、カツアゲされてる?

翔は右手を差し出す。
意味が分からないので、私は呆然と彼を見上げた。

「チョコ。まさか作ってきてないとか、そう言うオチじゃないだろうな?」