私と俺とバレンタイン争奪戦


「あの、これ――」

下さいと言う前に、私の手からチョコレートが消えた。

おかしい。
横取りされる以外、消えるはずがない。

私は恐る恐る後ろを向いた。

「――いいもん持ってんじゃんか」

お前はヤクザか。

そこには不敵な笑みを浮かべる男子学生がいた。

彼の名前は神谷翔。
放課後に女子からチョコをもらっていた人であり――私の彼氏だ。一応。