「・・・普段は忙しくて来れないの」
「へえ。そうなんですか」
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彼女の隣に腰を下ろした俺は
徐々に会話をして行くごとに
彼女が俺に心を開いてくれていることが
身に染みて感じられた。
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「名前、なんて言うんですか?」
そう聞くと
「谷沢玲奈」
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と言って
何故か悲しそうな顔をした。
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「貴方は?」
「俺は戸沢風雅です」
「風雅君?カッコいい名前だね」
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そう言いながら
にっこり笑った。
自分の名前を「カッコいい」なんて言われたの
初めてだったからか、
思わず照れ笑いをした俺。
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「いくつなの?」
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そう聞かれて
年下のガキだと思われたくないな、
と思ったけど
逆サバを読む訳にも行かない。
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「22歳です」
そう言うと
「あ、年下なんだ」
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そう言った、
少し冷めた声が聞こえた。
