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「ただいま......」
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家に帰ると
雄太郎がソファーに座っていた。
怪訝な顔をして。
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「遅い」
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そう言いながら
右手の人差指で机をたたいた。
苛々している証だった。
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「ご、ごめん。今日は病院へ行ってたの」
「何で?」
「そ、それは・・・」
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“貴方のせいで行かざるを得ない”
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そんな風に言えたら
どれだけ幸せだろうか、といつも思う。
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「少し、風邪気味で」
「だからって門限の7時から5分も遅れている」
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たったの5分じゃないか。
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「ご、ごめんなさい」
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「それだけで済むと思うな・・・・・・!!」
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そう言って
雄太郎は私の顔を叩いた。
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「っ......」
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部屋の隅に弾き飛ばされた私は
縋るような眼で
雄太郎を見つめることしか出来なかった。
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さあ、
最悪な血祭りの始まり、かな。
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