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「戸沢さん」
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そう言う籠った声が
診察室から聞えて来た。
俺は小さく溜息をついて立ちあがった。
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すると診察室から違うお客さんが出てきた。
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その人とすれ違った時、
思わず俺は振り返った。
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何の気力もない。
まるで生気を感じられない。
そんな人だった。
俯いて、静かに息を繰り返している。
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まるで、人類との関係、
全てを拒否しているかのように思えた。
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でも、
あの人は・・・
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「玲奈さん......?」
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明らかに
玲奈さんの横顔だった事を
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俺は見逃さなかった。
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