君の側に  上

「ふ~ん。
 良かったねー!」

薫がニヤニヤしながら
私に言う。
私は顔がほんのり熱くなった。

「じゃあ、付き合ったんだー」

付き合う…。
樹からその言葉はもらっていない。
好きとは言われたけど、
付き合おうとは言われなかった。
私もその時は、樹が私を想っていて
くれたことが嬉しくて
付き合うということは忘れていた。

「付き合おうとは…言われてないかな・・」

薫に少し申し訳なさそうに、
遠慮がちに話した。

「そ、そっか。」

少しの沈黙・・・

だけど、その後
薫が重い口を開いた。
それは、2年前の
私の知らない出来事。