俺の名前は幸一。今日は俺が片想い中の春香と一緒に海水浴に来ている。そして今は春香と二人で遊び疲れて、水着のまま海の向こうに見える夕陽を眺めていた。

「はぁ、本当に楽しい時は時間の流れが早く感じるよ」

「そうだね。本当に早く感じるね」

二人で砂場に座って夕陽を眺めながら何の気無しに言ったことにも春香は少し切なさそうに答えてくれた。その後はお互い何も話すことなくただいたずらに時間だけが経っていった。俺は今が告白のチャンスだと思って何度か話しかけようとしたが、いざ告白となると変に緊張してしまって声が出しにくくなってしまった。

「「あの」」

ようやくの思いで話しかけたら二人同時になってしまって、そのせいでお互い余計に恥ずかしくなってしまった。だがこの気持ちはちゃんと伝えたいと思い、一呼吸おいて意を決し再び自分から話しかけた。

「春香からでいいよ」

「うぅん、幸一からお願い」

「わかった。俺から話すね」

「うん」

春香は俺と同時になったのが相当恥ずかしかったのか、ずっと俯いたまま返事をしていた。さぁちゃんと伝えるぞ。今を逃したら今度はいつになるか分からない。だから早く春香にこの気持ちを伝えたい。そう思いながら話し始めた。

「俺さ、春香と一緒にいるとすごく幸せなんだ。春香の笑顔を見てるとすごく元気付けられるし、応援されるとここで踏み止まっちゃ駄目だって思えるんだ。だから今も踏み止まりそうだけど頑張って春香に伝えるね」

「え!」

そう言って俺は春香を横から絶対離さないという気持ちで強く抱きしめた。春香は急に抱きしめられてびっくりしてたけど、俺の顔を見ようとしただけで嫌がりはしなかった。

「俺は春香のことが好きだ。いつも俺は春香のことばかり考えてるんだ。こんな頼りないかもしれないけど、こんな俺でよかったら俺と付き合ってください」

「え、本当に?」

「本当だよ。俺は春香のことが好きなんだ」

春香に俺の気持ちを伝えながら、さらに春香を抱きしめている腕の力を強めた。

「嬉しい。私も幸一のこと大好きだよ。絶対離れたくない」

春香は俺の腕の中で両手で口を覆いながら、本当に嬉しかったのか体を微かに震わせながら俺の告白を受け入れてくれた。

「ありがとう。俺も嬉しいよ。だから泣かないで」

「悲しいから泣いてるんじゃないもん。嬉しすぎて泣いてるんだもん。幸せすぎて涙が止まらないよ」

春香の両肩を掴みながら顔を覗き込むとその顔は瞳から涙が流れ落ちていた。その涙は夕陽の光に照らされて綺麗に光っていた。