*夏の海水浴場は、人がいっぱい。


とりあえずレンタルのパラソルを借りに行くのだ。

達也は、おもちゃ屋で売ってそうな足踏みの空気入れで、必死にボールを膨らませていた。

サンダルを脱いだ千浩ちゃんが笑いながらこちらを向く。


「あはは、砂が暑いなー。私、海水浴に来るのは久しぶりだ」

「そういやー俺も随分来てなかったなー」


*と返しつつも、頭の中では千浩ちゃんおっぱいでかすぎとか考えている田中幸大であった。




「よーし、行くわよ~っ」


適当に準備を終えると、真っ先に海に駆け出したのは瑞希ちゃんだった。

日焼け云々とか言って日陰から出なさそうとか思っていたが、そうでもないみたいだな。


「幸大、俺らも行くか。待てよ~瑞希ちゃーん」

「俺も行くのだ。千浩ちゃんも!」

「あ、ああ」


千浩ちゃんの手を引きながら、俺も二人を追って走り出した。


「あっはははー冷たぁ~い」


瑞希ちゃんが笑っている。

俺にとっては久々の、裸足で感じる海の感触。


俺は沖に浮かんでる四角い小さな島のようはものを指差し、


「おい!あそこまで競争なのだ!」


と達也に言い放った。


「おう!おーい千浩ちゃん、あっちまで泳ぐから見ててなー!」

「あまり無茶をするんじゃないぞ!」

「わかってるよ。さっ、行くぞ幸大!」

「おう!」