「ねえ、お兄ちゃん」

「ん?」

「私さ、フルートまた吹くことにしたの。」

「でも・・・咲は・・・・・・っ」

「そうだよ、私フルートが怖い。けどね、私の周りに応援
してくれる人がいてね、その人の期待に応えたいんだ!」

「そうか。それはもしかして男だったりするのか?」

「え!!」

「ハハハ、咲は分かりやすいな~」

「お兄ちゃん!!からかわないでよ!!!!」

「ははははは」
まだワラっていやがる!!むかつく!!
「まあ、その様子からすると、恋愛対象ではないようだな。」
「うん、そうだよ!!」


「でも、咲?」

「ん?」

「本当にいいのか?咲は俺と違って音楽の才能がある。
だから咲には、音楽には真剣に向ってほしい。」

「お兄ちゃん・・・・、ぐずっ。」
お兄ちゃんは、クラリネットを14歳まで吹いていた。
けれど、私のフルートが有名になった時、妹と音楽のことで
差があることに気がつき、やめたらしい。それは、私の
責任でもあるのだ・・・・・。お兄ちゃんは優しいから、そんなこと
話さないけど、私は勘がよかったのでわかってしまった。

「咲は昔から泣き虫だな~」

「うううっ、ひっく・・・・」
お兄ちゃんは私が泣いてる間、ずっと頭を撫でてくれた。
本当に優しいお兄ちゃんだ・・・・・・。