そして芸術の時間。
先生の初授業。
そのためか音楽選択の生徒(女子)達は先ほどからそわそわしている。
「人気だよね~蒼井センセ。ま、ヒカリは興味ないでしょ?…ヒカリ?」
「え?」
他の女子生徒のようにそわそわしていると、由梨がくるりとこちらを振り向いた。
すると、由梨は突然私の肩をがしっとつかむ。
「ちょ、ヒカリ!?どうしたの!?」
「ちょっとね…楽しみだなって」
「ま、まさかヒカリ…」
「あぁ違うの!別に先生の容姿がどうこうって言うより、あの人自体に興味があるんだよね」
そういってじっと前を向く私に由梨は驚く。
無理もない、初めてなのだから。
私がこんな風に、誰かに対して興味を持つのは。
例えそれが音楽が絡んでいるからにしても。
そしてそれは、私自身、まだ気づいてはいなかった。
「桂太…あんたヤバイかもね…」
「え?なんか言った?」
「いいや、なにも?」
そう言って前を向く由梨に、少し不信感を抱きつつも、きっと大した事じゃないんだろうと結論付けて、私も同じように前を向いた。

