先生をひっぱって音楽室にはいると、ピアノの前に先生を座らせた。
「さ、先生!」
「はぁ…何か聞きたい曲は?」
「なんでも!先生の好きな曲がいい!」
「…いい?」
「…です」
「はい」
先生はにっこりと笑うと指をコキコキ鳴らすとスッと弾き始める。
ピアノの音が音楽室に響き渡る。
聞いたことのない、知らない曲。
でもそのあまりにも美しく、切ない旋律に私は息を呑んだ。
なんだろう?
どこか切なく、でもドキドキする気持ちは。
あぁ、わかった。
これはきっと好きな人に送った曲なんだ。
これは、多分片思いの曲。
哀しいのに嬉しい。そんな気分になる。
私のよく知る感情。
ここは多分嬉しい。ここは多分哀しい。ここは多分迷ってる。ここは多分…。
メロディから思い浮かぶイメージを考えながら、私は先生の奏でる旋律に耳を傾けた。

