食べて笑って呑んで、先輩と楽しそうに話している小波さんの横で彼はただお酒を呑んでいる。
時々話題を振られると表情一つ変えずに素っ気なく返事をしていた。

臨時のヘルプに入ったあたしも、お酒を注いだり呑んだりすること以外やることがなくてそんな三人に適当に合わせているだけ。

挙句の果てに先輩の話術に乗せられて逆にお客さんみたいになっていた。






「〜…ひっく…ぅあるれぇ〜?世界がまわるぅ〜?」

「…っ、呑みすぎだっつーの小波さん」

「かんだー」

「…はぁ…とにかく帰るぞ」


あれから数時間。

彼らが帰ると言いだした頃には小波さんだけすっかり出来上がっていた。
先輩や神田と呼ばれていた彼が止めるのも聞かずにお酒を飲み続けた小波さんはベロンベロン。
神田さんに引きずられるようにして出口までたどり着く。


「あの、小波さんっていつもあんな感じなんですか?」

「あー…うん。いつもああやってベロベロに酔っ払っちゃうの。だから今日は神田さんがストッパー役になってくれるかなぁーって思ってたんだけど…」

「無理でしたね」

「うん。無理だったね」


小波さんを介抱する神田さんがなんだか慣れている風に見えた。
普段の彼がどんな立ち位置なのかなんとなく分かった気がする。