私がいろいろ考えているうちに仁衣菜はハハッと笑って話し始めた。


「本当に覚えてないんだ~。じゃぁ、私が教えてあげる!
私が小4くらいの頃に男子にいじめられてたでしょ?
その時りっちゃんが助けてくれたの。
どこのヤンキーだよって感じで、こう言ったんだよ?
『仁衣菜の事いじめてんじゃねーぞ!
律が怒ったからあんた達は生きては帰れないよ?!
いや、帰さない…の間違いかな…?
じゃぁ、いくよ…?ドォリャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!』
後で聞いたらテレビで芸人さんが言ってたんだよって笑いながら教えてくれたよね。
傷いっぱいつけて…泥いっぱいつけて…髪ボサボサにして…。
あれは本当に嬉しかったよ!
これから本題に入るよ…?」


と言って少し笑いながら私を真っ直ぐ見ていた。

そして息を吸ってまた話し始めた。


「その日の帰り道、りっちゃんは
『男子なんか大っ嫌い!』
って言ったよね。その後りっちゃんは
『私絶対男子と話さないし!絶対に好きになったりなんかしないよ!』
って言ったんだよ?覚えてる?
私はりっちゃんが私を慰める冗談だと思ってその時はありがとうって言って終わったんだよね。
でも、次の日、りっちゃんは本当に男子と話さなかった。
男の先生の話ですら無視してた…。だからすごく怒られた…。
私は昨日の話本当だったの?!って聞いたらりっちゃんは
『律は嘘吐かないよ?』
って言ったの。だから私はやめて!って言ったの。そしたらすごく怒って
『どうして?!仁衣菜はムカつかないの?!そんな事言うんだったらもう絶交!ばいばい!』
って言って行っちゃったよね…。」


仁衣菜はそこまで言ってとても悲しそうな顔をして私を見た。

よくいう眉毛が八の字になっているの状態だ…。

もう私は思い出していたけど仁衣菜の話を全部聞く事にした。

そう考えているうちにまた話し始めた仁衣菜の顔は悲しそうだが笑っていた。


「私は絶交っていうのも冗談だろうと思ってた。
だから次の日また話しかけた。
そしたらりっちゃんは少し困った顔をしていたけど私を無視したよね。
あぁ…もう…終わりなんだな…って思った…。
あの時すぐにトイレに行ってよかった…。
じゃなきゃりっちゃんの前で泣いちゃってたから…。
でも、もうその時には引越しが決まってたんだよ…?」


あぁ…、あの時泣いてたのか…。

私はトイレに行った仁衣菜を追おうと思った。

でも追っちゃいけない気がして追えなかった…。