私の事を好き…?

ハハ…、なんかの冗談だよね…


「やだなー…!そういう冗談は…痛…!」


私は机に押さえつけられていた。

私を押さえつけていたのは坂本君だった…。


「冗談じゃねー。本当にお前が好きなんだよ…」


と言って私の首へ顔を埋めた。

そして何回も私の首と頬にキスをした。


「ちょ…!やめて…よ…!」

「無理だ…俺がいつもどんだけ我慢してると思ってんの…?止まんねーんだよ」


坂本君は私を少しだけ見て唇にキスをした。

何回も何回も深くて優しいキスを…。

それでも私は嫌で嫌で坂本君を押し退けた。


「やめってって言ってるでしょ?!意味わかんないよ!私は坂本君をそういう風に見た事なんか一度もないの!ただ…ただ…!“仲の良い友達”って思ってたのに…!」

「すまん…でも!俺は本気でお前が好きだ!」


私はその言葉を聞きたくなかった…。

ずっと友達でいれると思っていたのに…。

私は悲しくて悲しくて…逃げた。


「おい!ちょっと待てよ!律!…律!」


その声を無視した。

その日私は泣いた。

泣くしか出来なかった。

そしてその日が坂本君との最後の思い出。

私はその日の夜に引越しをして転校したからだ。

私は坂本君にはちゃんとさよならを言おうと思っていたのに…。

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そう、これが坂本爽との思い出だ。

これからは坂本爽ではなく神田爽との思い出をつくんなきゃいけないの?


「坂本君…?」

「いや、今は神田君な」


怖い…怖い怖い怖い!


「俺は今でも律が好きだ。でもあの時みたいな事は絶対しない。だからまた友達からでいいからやり直そう」


そんなの…無理に決まってんじゃんーーー!!