何処で生まれたのか、ここが何処かも私は知らない。

雨が降りしきる中、まだ目も見えずに段ボールの中で泣き叫ぶ私を暖かい手が包む。



「大丈夫か?」


そっと抱き上げられるとポケットの中に入れられた。

「家にくるか?」

独り言のようにつぶやくと、そのまま雨のなかを連れていかれた。