pianissimo.

『じゃあ、何?』って聞かれても、『今、すぐにでも屋上から脱出したい』としか答えようがない。けれど、ライガが求めているのはそんな答えじゃないことぐらい、私にだってわかる。


口籠ってしまった私を、ライガは眉尻を下げた困り顔で、切なげに見詰めてくる。胸の奥がまた、ぎゅうっと握り潰されているみたいに痛んだ。



やがて、ライガが重苦しい沈黙を破って口を開いた。


「先輩、怒ってる?」

「怒ってる」

そう答えるしかない。だって本当に怒っているんだから。


「嫌いになった?」

また答えられない質問だ。『嫌いになってない』と答えれば、『じゃあ好き?』って聞きそう、絶対聞く。だからって、『嫌いになった』なんて嘘はどうしても吐きたくなかった。