「ラッシー、聞いたよ。なんか大騒ぎになってんね」 翌日の朝、クラスメートの郁香(フミカ)が溜息混じりにそう言った。 『ラッシー』とは私のこと。『いがらし』だから『ラッシー』。私も気に入っている。 「色々聞かれて参ったー、私なんも知らないし」 耳が隠れるぐらいのショートヘアー、フワフワした細くて柔らかそうな焦げ茶色の髪を、右手でクシャリクシャリと揉みながら、困り果てたと言わんばかりの苦笑を浮かべて郁香は言う。 「何のこと?」 大体想像はつくけれど、取り敢えず尋ねてみた。