pianissimo.

「ライガが濡れるのがイヤ。私がイヤ」

ライガの手を握ったまま、真っ直ぐ見詰めて言った。雨音がうるさくて、それはライガに届いたかどうかわからない。

ライガは、ほんの少しだけ目を縦に開いて、驚いたような素振りを見せたから、ちゃんと聞こえたのかもしれない。



ヘルメットからボタッボタッと、絶え間なく滴り落ちる雫がやけに気になった。顔面をバチバチと打ち付ける雨粒も。



ライガの空いている方の腕が私の顔に向かって伸びて来て、大きくて厚みのある手に私の頬が包まれた。その優しい感触に、鼓動が激しく騒ぎ出す。


そうしてライガは親指で私の頬をそうっと撫でて、

「やっぱ傘もいるじゃん」

と、微かに眉根を寄せたまま、クシャッと笑った。