pianissimo.

「そこか」

先頭きって歩く男がボソリとこぼしてほくそ笑み、ご一行様は揃ってそちらへ向かう。

たちまち女子の悲鳴が高らかに空(クウ)を舞い、逃げ惑う『ライガ』付近の生徒たち。



開けたスペースにポツンと佇む男子は、為すすべなく呆然と立ち尽くしている――ように見えた。



えっ……フツー。

ほんの少し長めの黒髪ストレート。背はどちらかというと高い方、かな? そしてやや細身。


とにかく普通。こんな大勢で殴り込みに来る必要性が全く見当たらない。まあ余計なお世話だろうけど。