pianissimo.

だから、一生懸命こいだ。できるだけ早くライガを自宅へ送り届けないとって。


全身が汗ばんできて、呼吸もほんの少し乱れて来た。

日頃の運動不足のせいだ。そして、レインコートのせいで余計に暑い。



そんな私に気付いたらしいライガが、

「先輩、そんなムキんなってこがなくていいよ? 俺、別に急いでねーし」

これも多分だけど、私を気遣ってそう言った。


「私が急いでんのっ! 用事があんのっ!」

咄嗟に嘘を吐いた。



「マジ? なんで言わないの? じゃあ、ここでいい、ここでいいから降ろして」