pianissimo.

「ライガ……」

そっと静かに呼び掛け、ぐったりとした身体を抱き起こした。


ライガは重そうに瞼を押し上げ、視点の定まらない真っ黒な瞳を微かに揺らす。

そして、ようやく目の前に居る私を見付けたのか、「凜子……先輩」と、か細い声で私の名を呼んで、ふわり、柔らかく微笑んだ。



「もう大丈夫。もう大丈夫だよ」

言ってライガをぎゅうっと胸に抱いたら――

私の中に溜まった沢山のものが、堰を切ったように目から溢れ出た。



「先輩……苦しっ……」

腕の中のライガにくぐもった声で言われ、ハッとして身を離せば、ライガはおかしそうにクシャリと笑った。



ゆっくりと片腕を持ち上げると、ライガはまたいつもの様に、折った指の山でそっと私の頬に触れて、

「先輩……守れなくて、ごめん」

と、申し訳なさそうに苦笑する。


首をブンブン横に振り、

「ライガは守ってくれた。ありがとう」

濡れた頬を両手で拭いながらそう言うと、「守ってねぇし」とほんの少し不満げに言い返して来た。