pianissimo.

「待ってよ、凛子先輩!」

今度は私だけを呼び止める。


ゆるゆると振り返れば、ライガが今にも泣き出しそうな顔で私を見詰めていた。



「こんな風に先輩に助けて貰ったって、俺は嬉しくねーよ? 逆に惨めだ。死んだ方がマシなぐらい惨めだ」

「だったら勝手にそこで死ね」

勇輝はライガに向かって冷酷な言葉を吐いて、「おら、行くぞ」と再び私の肩を抱いた。


「少しだけ待って」

そうっと丁寧にその手を除けて、もう一度ライガに視線を戻す。



「ライガのためじゃないよ。自分のためだよ。お願い、わかって」

「約束……約束は? 先輩、俺と約束したろ? 自分を大事にするって」

「うん、ごめん。守れなくてごめん。やっぱり私――」



――自分なんかよりライガの方がずっと大事。



その本音は、伝えず胸の奥にしまい込んだ。