pianissimo.

「何? このバカップル。気持ち悪ぃんだけど」

大輝が心底うんざりしたように、ボソリと呟いた。


的確な指摘だ。私は今、まるでライガと二人きりの世界に居るような、そんな錯覚をしていた。



現実逃避? 自己防衛?

この非常事態のせいで、私の中のどこかが壊れかけているのかも知れない。



逃げたらいけない、そう思った。



振り返りながらライガの上から退き、背後に立っている勇輝の足元に跪いた。

そこから見上げると、私に落とされている勇輝の冷淡な眼差しは、随分遠くに感じた。



「お願い……どうかお願いします。ライガを助けてください」

縋る想いで懇願する。


身じろぎ一つせず、じぃっと私を見下ろしていた勇輝はやがて、

「見返りは?」

静かに問いを落とした。


「お金……ですか?」

震える小さな声で聞き返した。