pianissimo.

パン――と。もの凄い音が耳元で鳴り、私の顔は弾き飛ばされた。

ただ、衝撃を食らった左頬が熱くて。咄嗟にそこを両手で覆った。



「わかったか? 女の出る幕じゃねぇ、でしゃばんな」

伏し目がちに見下ろす勇輝の、冷血な眼差しにほんの少し怯むも、

「わかんない。ライガは悪くない。理由もないのに乱暴したりしない」

大声で怒鳴って、勇輝を睨み返した。



その表情にほとんど変化はなかったけれど、目を微かに広げた勇輝は、明らかに動揺しているとわかる。


勢いに任せて、言葉を繋いだ。

「大輝が何をしたか、あなたは知らない。そうでしょ? 悪いのは大輝だよ? あなたの弟が、先にライガに酷いことしたんだから。だから……ライガは悪くない!」

「どういうことだ? お前は一体、何のことを言ってる?」

「本人に聞けば? 私が言ったって、どうせ信じないでしょ?」


勇輝は私を見据えたまま、少しの間、微動だにしなかった。



やがて、思い立ったように身を半回転させて私に背を向ける。