pianissimo.

背後から飛び掛かった男を、ライガはふわりと前屈してその衝撃をかわしつつ背負い投げ。男が地に叩き落とされた時にはもう、くるりと身を翻していた。


間髪入れず別の男が突き出した拳を、頭を軽く横倒すだけで難なく避ける。そうして、一歩踏み出しながらその男の腹に、肘を折ったままの左拳を突き入れた。



けれど、ライガの姿が見えていたのなんて、最初のほんの一瞬だけで……。


すぐに、人の海に呑まれてライガは消えた。



嫌だ、こんなの。誰か助けて。

ライガが死んじゃう。



思わず走り出せば、案外呆気なく両脇の男から逃れられた。また油断していたのかも知れない。


けれど、ライガに襲い掛かっている人の群へと辿り着く前に、また勇輝に腹を抱きかかえられて邪魔される。

まるで、デジャブ。



「放してっ! 放せっ!」

私の身体に巻き付いている、腹立たしいほどに頑丈なその腕を、両の拳でボコボコ殴り付けて暴れた。