pianissimo.

「このクソガキ、えらくでけぇ口叩くじゃねぇか。道理でオツムゆるゆるの姫花が惚れるわけだ。口だけ達者な男に、バカな女は弱ぇからなぁ」


それまで私たちよりもずっと後ろに黙って佇んでいた男が、沈黙を破って勇輝の数歩ほど距離をとった隣まで歩み出た。



「そう言ってやんなよ。そのオツムゆるゆるの血、あんたん中にも流れてんだろ?」

からかうような口振りで、ライガは悪戯っぽく笑って言う。



この彼と姫花ちゃんには、同じ血が通っている?

ということは、彼が姫花ちゃんの兄……。



「口の減らねぇガキだな、胸糞悪ぃわ、マジで。なぁ総長、とっとと片付けて、このうるせぇ口塞いでいいかー?」

「まだだ。話はまだ、終わってない」


そう返した勇輝が、隣の姫花ちゃんの兄の方を向く様子はなく。彼の後頭部はピクリとも動かない。その視線は、ライガを捕えたままなんだろうか。



「コイツに何の話があるってんだ? ふざけんな。こっちはなぁ、お前らみてぇに暇じゃねぇんだ。とっととコイツ始末して帰りてーんだよ」

姫花ちゃんの兄が、苛立たしげに言い放つ。