pianissimo.

堤防の上を、一台の原付バイクがもの凄いスピードで走って来た。


暗いし、ヘルメットを被っているしで、ここからじゃ顔は確認できない。けれど、どちらかというと細身で、均整のとれたそのシルエットから、ライガだと確信した。



バイクは案の定、堤防を横道に入って、狭い急斜面を下りて来る。そうして、下り切ったところで、キッと甲高い音を鳴らしてブレーキを絞った。


ライガはすぐさま、シートを跨ぐようにしてバイクから降り、ゆったりとしたやけに落ち着いた動きで、スタンドを立てた。


半キャップヘルメットを外せば、無数のライトに照らされた金髪が、キラキラと輝いた。



「キッカリ5分だったろ?」

緊張感など微塵も感じられない平然とした口調でそう言って、ライガは無邪気に微笑んで見せる。


ライガの言葉を合図に、その場に居た男たちが一斉に取り囲み、ライガの姿は見えなくなった。



「揃っての出迎え、ありがとね」

ライガの軽口だけが、こちらまで届く。その直後、人の壁が真っ二つに割れ、再びライガの姿が顕わになった。