pianissimo.

小さく頭を左右に振って拒否すれば、「『いやいや』じゃねぇわ」と、勇輝はわざとらしく実況中継みたいなことをする。



――と、懐かしい声が、私の鼓膜をそっと叩いた。


『凜子先輩……無事? 無事なら……声、聞かせて。頼むよ』


縋るような、切なげではかなげなその声に、胸の奥を激しく揺さぶられて。




「ライ……ガ……」



思わず――

愛しいその名を呼んでいた。




途端、勇輝が剥ぎ取るように携帯を私の耳から離し、再び自分の耳元へと戻す。


「聞いたか? もう十分だろ? 河川敷だ、わかるよな? 10分で来い」


そうして、相手の返事を聞いた後、勇輝は電話を切った。



勇輝は私を真っ直ぐ見据えると、

「愛されてんなー、あんた。ライガは――

5分で来るそうだ」

そう言って、満足げに微笑んだ。



周りからドッと沸き起こる歓声。

その喧騒とは相反して、私の気持ちは絶望に沈んだ。