pianissimo.

私は何も答えず俯いた。だって実際、乱暴されそうになったから。大輝に、ではないけれど……。



誰かがゆっくりと近付いて来る気配を感じ、全身がまた、ふるふると小さく震え出した。


怖い。何をされるかわからなくて、余計に怖い。



俯いたままの私の顎に誰かの手がそっと触れ、そこに小さな圧が掛かって、私の顔はクイと上向けられた。



目の前に居たのは勇輝。相変わらずの無表情で私をじっと見下ろしていた。


「無事か?」

どこか気遣うような静かな声で勇輝は問う。それでも拭いきれない恐怖のせいで、その問いに答えることなんか出来なくて、ただ、縋る思いで勇輝を見詰めていた。



「答えろ。何もされてねぇか?」

今度は威圧的な声で聞かれ、なんとか余力を振り絞って小さく頷いた。



顎下を軽く支えていた勇輝の手が、すっと離れて重力に従って落ちた。けれど、私の身体はガチガチに固まっていて、もう一度俯くことも出来なくて。


視線も逸らすことが出来ず、勇輝の射るような鋭い目線と一直線に繋がったまま。