pianissimo.

「固いことゆーなって、大輝ぃー。着くまでには終わらせっからよー」

言いながら、左側の男は私の両足を抱え込んで、シートの上に引っ張り上げようとする。暴れようにも、二人掛かりで拘束されていては、思うように動けない。


そんな二人を、大輝は侮蔑をたっぷり含んだ目で冷ややかに見詰め、


「なぁお前ら――

死ぬ?」


不自然なほど落ち着いた様子で、静かにポトンと吐き捨てた。


たちまち両側の男が凍り付いたように固まり、と同時に脱力する。私はすかさず、元の通り真っ直ぐに座り直した。



満足そうに小さく頷いた大輝は、今度は私の方へゆっくりと視線を移す。


そして――

感情が少しも読み取れない冷酷な笑みを薄く浮かべて、

「でも凜子ちゃん、その反応、すっごくいい感じ。そんな調子でライガをおびき出してね?」

と言った。優しい声音は、大輝が口にした言葉にあまりに不似合いで、その違和感から一段と恐怖が増長する。



私は……囮?

行方をくらましているライガをおびき出すための。



どうしよう……どうしたら……。