pianissimo.

彼がほんの少し身を乗り出せば、綺麗な焦げ茶色の髪が風に揺れた。



「急いでるとこごめんね。ちょっと道聞きたいんだけど」

柔らかな口調でそう尋ね、人懐っこい笑顔を見せる。


どこかあどけなさの残るその輪郭から、歳は私と同じくらいかな、と思った。



一旦自転車を止めて、「どこへ行きたいんですか?」と聞き返せば、

「この辺に郵便局ってある?」

と。聞かれた場所も普通だったから、ホッと胸を撫で下ろした。



身振り手振り付きで説明すると、彼は困ったように小首を傾げ、

「俺ら、この辺全くわかんねぇんだ。悪いけど、一緒に行ってくんない?」

と、後部座席を親指で差す。



さすがにそれはちょっと……。



「でも自転車、ここに放置する訳にもいかないし。全力でこぐんで、ついて来てください」

できるだけ愛想良くを心掛け、そう提案してみた。



「そっ、わかった。じゃ、よろしく」

彼はニカッと屈託ない笑顔を見せ、同意してくれた。


再びホッ……。