『俺の大切なものを傷付けたから』
ライガの言葉を思い出した。
『大切なもの』は、静江ちゃんだったんだ。『傷付けた』って……『酷いことされた』って……。
もしかして、レイプ?
そんな卑猥な想像しかできない自分に凹む。
言葉が見付からないまま、静江ちゃんをじっと見詰めていた。静江ちゃんは、フッと私から視線を外して俯くと、ポツリ、ポツリ、言葉を落とすように話し始めた。
アイツ――柏原大輝(ダイキ)はライガと同じ野球部、そして親友だった。元々は『イイヤツ』だったらしい。
けれど、彼の兄、勇輝の方はどうしようもない不良で、両親の期待は弟、大輝に全て注がれた。それが重荷となって大輝を苦しめ、彼の人格は次第に歪んでいった。
でも――
周りの誰一人、それに気付かなかった。
もちろん、ライガも静江ちゃんも……。



