pianissimo.

病院近くの喫茶店に寄った。


一番奥、角の席が空いていたからそこに向い合せで腰掛けた。自然に目線が合い、どちらからともなく二人して苦笑した。



「えっと……静江ちゃんは何頼む? このコーヒーゼリー美味しそう。あ、『ゼリー』じゃなかった、『ジェリー』だった」

重い空気を少しでも和らげようと、意識的にふざけてみたのだけど、とんでもなくわざとらしくて。

それでも静江ちゃんは「ほんとだー」なんて言いながらクスクス笑ってくれた。だから、逆に気を遣わせちゃったかなって、余計に申し訳なく思った。



「じゃあ私、コーヒー『ジェリー』にする」

言って静江ちゃんはニッと笑う。


「うん、じゃ、私も……」


店員さんを呼んで、コーヒージェリー二つを注文した。




タワーみたいな背の高いコーヒージェリー。

ゼリーの上にグルグル巻きのソフトクリームがたっぷり乗っかっていて、「美味しいね。なかなかジェリーに辿り着けないけど」なんて言いながら、それをスプーンですくってせっせと口に運ぶ。