ミルク飴、二つ。



「ありがと」

戸惑いがちに礼を言い、二つのうち一つを私に差し出した。それを受け取れば「いっこずつ」と、また屈託なく笑って言う。


そうして、自分の手に残っているもう一つを、すぐさま開封して自分の口に放り込んだ。


「ん、お母さんの味」

などとふざけて笑う。可愛い、愛くるしい、可憐、綺麗、無邪気、眩しい、愛しい……。


そしてライガは軽やかに、まるで風のように颯爽と走り去った。




あやうくキュン死させられるところだった。

年下の、しかもボコられて顔の潰れた不良少年に……。




何となく、今すぐ食べたくなって、返されたミルク飴を私も口に入れた。『いっこずつ』、これは私の分、そう思うだけで頬が自然と緩む。




うん。『お母さんの味』だ。