pianissimo.





静江ちゃんと二人、病院を出て自転車置き場へ向かう。



「ヒロさん、静江ちゃんのことが大好きなんだね」

ヒロさんの寂しげな背中が、未だに脳裏に焼き付いていて、気付くと頬が緩んでいる。



「んー……。シスコンなんだよね。早く妹離れして欲しい」

困ったように顔を顰めてそう言うも、すぐに静江ちゃんは満面の笑顔を見せた。


「トモ……ハルくんは?」

呼びなれない名前をためらいながらも口にし、何となく尋ねてみた。



「トモ兄は……」

一旦口を開くも、静江ちゃんはすぐに閉じてしまう。心なしか表情に影がさしたように見えて、まずいこと聞いちゃったのかな、なんてほんの少し不安になった。




「凜子ちゃん、ちょっとだけ時間ありますか? 話したいことがあるんだけど」

「あ、うん。大丈夫」


静江ちゃんの深刻な面持ちから、『話したいこと』は明るい話題じゃないと嫌でも悟る。


一体、何なんだろう……。