pianissimo.

まぁいいか、別に。

決して投げやりではなく、『成るようになれ』という気持ち。



ぼんやりと窓の外を眺めていたら、背後から「あれ?」と驚いたような声が聞こえた。

ライガに似たそれに、身体がビクッと跳ねた。


勢いよく声のした方を振り返れば、ヒロさんが突っ立ったまま呆然と私を見詰めている。



「あのっ……こんにちは。今、静江ちゃんが呼びに行って……。擦れ違っちゃったのかな? ヒロさん、レントゲン行かなきゃなんないそうです」


ほぼ初対面なのに、どうしてだか伝えなきゃっていう使命感に駆られ、つらつらとしゃべくってしまった。そんな私は、ヒロさんから見たらきっと、とんでもなく滑稽だ。恥ずかしい。


「ああ、売店寄ったから……」

言いながら、小さな買い物袋を胸の高さぐらいまで持ち上げて、何故だか得意気に私に見せる。そうして、私の目の前、ベッド端にドカリと腰を落とし、すぐ傍のオーバーテーブルの上にその袋をポサッと無造作に置いた。