pianissimo.

「私、呼びに行って来ます」

静江ちゃんがそう言うと、ようやく看護師さんは私たちの方へ視線を寄越した。


「あ、静江ちゃん、こんにちは。ほんと? 頼んじゃっていい?」

「はい。どうせ売店か喫煙所ですから。行って来まーす」

迷わず答えて、静江ちゃんは元気よく駆け出した。


あの……私はどうすれば……?



看護師さんは残された私に、苦笑しながら軽く会釈をする。

私もつられるように小さく頭を下げると、「全く、困った未成年だ」などと愚痴りながらも温かい笑みを見せ、そうして病室を後にした。



『未成年』か……。

見えない。てっきり二十代前半か、もしかしたら半ばぐらいかと思っていた。


それにしても、一体全体、私は何がしたくてここへ来たのだろう。

衝動的に静江ちゃんについて来ちゃったけど、こうして一人になってしまうと、目的も何もないことに焦る。