ぎゅうっと、きついぐらいに抱きしめられて、その圧迫感さえ心地よくて。そっと瞼を落としたら、また涙が溢れて勢いよく両頬を伝った。



「約束する。自分を大事にする。何があっても、凜子先輩のところに戻って来る。だから――


待ってて」



耳元で囁かれた言葉は、私が一番欲しかったものだった。


私はただ、ライガに『待ってて』って言って欲しかったんだ。今更だけど気付く。



痛いほどにライガを求めて、苦しくて辛くて。だから、ライガにも同じぐらい私を求めて欲しかった。我儘を言って欲しかった。


ただそれだけで、私の心は満たされた。




結局――

ライガは再び私の前から消えてしまったけれど、もう迷いなんか微塵もない。



『待ってて』


ライガのその言葉だけで、私はいつまででも待てるから……。