pianissimo.

ほんの少し怒った顔をしたライガ。だけど私にはそれが、どうしても泣いているようにしか見えなくて。



「嘘。ライガは私が好き。私が大事。ライガは嘘を吐いてる」


私は、何があってもライガを信じるって決めたから。

そんなの自惚れだって笑われてもいい。ライガも私と同じ気持ちなんだと、そう信じたいから信じるだけ。



「違う」


「違わない!」


頑なな意志を込めて、ライガの否定を更に否定する。絶対に折れない、そう決めた。たった今、決めた。



「我儘だってわかってる。私なんか、きっと何の役にも立たない。でも……それでも一緒に居たい。ライガのお荷物になったって、一緒に居たい。離れたくない」




「なんだよ先輩。そこは騙されてよ」



酷く辛そうに苦笑して、ライガは呟いた。そうして、しゃがんでいる状態から、両膝を地に落とす。


ふわっと……。両の頬がライガの大きな手に包まれた。


「ん、大事。先輩が大事。他の何よりも……。だから先輩、自分を大事にしてよ」


切なげな瞳で私を真っ直ぐ見詰め、ライガは苦しそうに吐き出す。