pianissimo.

「待って、ライガ!」

追いかけても追いかけても、ぐんぐん遠ざかっていく背中に向かって叫んだ。けれど、ライガは立ち止まってくれない。振り向いてもくれない。



普段、全力疾走なんかほとんどしない私は、足がもつれてしまって。何もない平らな場所で、思いっきり転んでしまった。


ズザザーっと。何メートルもスライディングしたように感じた。全身のあちこちを擦り剥いて、もうどこが痛いのかもわからなくて、恥ずかしくて悔しくて泣きたくなった。



地面に突っ伏したまま、大声を張り上げて泣きじゃくった。

ライガに気付いて欲しかった。無様で格好悪い私でもいいから、その視界に入れて欲しかった。



ライガ、大好きだよ。冷酷なライガも優しいライガも、金髪でも黒髪でも。

そのどれもが本当のライガだって言うなら、私はどれも全部、大好きだよ。



ライガ――

私を置いて行かないで……。