pianissimo.





家に戻った私は、玄関前で一旦立ち止まる。濡れた頬は念入りに拭ったけど、両手で包んで再確認。


うん、大丈夫。


一度大きく息を吐き出して、胸も気持ちもスッキリさせて――スッキリさせたつもりで、玄関の扉をそっと開けた。



玄関入ってすぐ目の前に、階段がある。丁度、そこを降りて来る桃子と、バチリと視線がぶつかった。


桃子は驚いたように目を見張るも、

「あ、お姉ちゃん……。ご飯だって」

とりあえずは連絡事項的なことを口にする。


「あ、うん」

頷きながらサンダルを脱ぎ捨て玄関を上がれば、階段を降りきった桃子が不意に立ち止まった。



「どこ行ってたの?」

不思議そうに、でもどこか心配そうな顔で遠慮がちに尋ねる。