pianissimo.

またあの声を聞かされたらどうしよう……。

ふと、そんな不安が頭の中を過ぎる。二人が一緒にいることが確定するどころか、ライガへの疑心が確信へ変わる。そしたらもう、ライガの言葉全部が嘘だと思えてしまう。



いつまでたっても鳴り止まないそれを、恐る恐る手にした。けれど、ボタンを押そうとした瞬間、着信音はプツリと途絶えた。たちまち静寂が戻って、それはそれで、どうしてだか怖くなった。



それから1分も経っていないと思う。

今度は携帯電話がメールの着信を告げた。受信ボックスを開けば、そこにも『オレ』の文字。


びくびくしながらも、メールを開けた。電話よりは随分ましだ。手は微かに震えているけれど……。



『先輩、どこ? 今、先輩んちの前に居るんだけど。会いたい』


急いで打ち込んだんだろう、伝えたい言葉だけが並んでいる、ライガからのメールはそんな感じだった。



『あ、ごめん。家に居るよ。今出るね』

そう返信して、家をこっそり抜け出した。父はまだ仕事から帰っていないけど、母と桃子はもう既に帰宅していて一階に居たから。