pianissimo.

カチッと遠慮がちに小さな音を鳴らして玄関のドアが開き、超が付くほど心配性の母が、中から顔だけを覗かせた。


反射的に、私の顔のすぐ横で繋いでいた手をお互いに離して、勢いよく下ろした。



母は緊張で強張った顔を、無理矢理にぎこちなく綻ばせ、

「凜子、上がって貰ったら?」

こちらの顔色を窺うような、変に上ずった声でそう言った。


男の子を娘の部屋に入れることに抵抗はあるけれど、こうしてご近所さんの目に触れるかもしれない場所で立ち話されるのも困るんだろうな、母は。



お陰で、堂々と私の部屋で二人っきりになれたから良かった。今日は特に、色々な思いが混ざって膨らんで、爆発しそうなぐらい胸が苦しい。


けれど、ライガと話せば話すほど、それは増長するだろうか、そんな不安も無いと言ったら嘘になる。もしかしたら、止め処なく負の連鎖を引き起こすかも知れない、そう考えたら怖い。