pianissimo.

私以外皆食べ終わり、母が片づけを始めた。

いつも私だけが遅い。大してしゃべっている訳でもないのに。むしろ桃子の方が、私の何倍も話しているのに。



と、不意にインターホンが鳴る。こんな時間に珍しい。


母は食卓の上の食器を重ねながら、『どうせ桃子だろう』という目で、既にリビングですっかりくつろいでいる彼女を見る。


ソファーにゆったりと腰掛けた桃子は、テレビからそんな母へと視線を移し、

「お母さん、出てよ」

あたかもそれが当然のように、ふてぶてしい口調で言った。



「もう……」

不服そうに漏らすも、母は着けていたエプロンで両手を拭いながら玄関へと向かった。



すぐに母は戻って来た。

やっぱり桃子だったのかな? なんて思いながらも母に視線をやれば、バチリと視線がぶつかって何故だか無性に焦る。



「凛子、お客さん」

母はとんでもなく呆けた顔をして、ポツリ、弱々しい声で言った。