pianissimo.

「先輩が切ない理由、教えて」

柔らかく囁くようにライガは言った。



どう答えればいいんだろう。差し障りのない言葉なんか思い付かなくて、口を閉ざしたまま身動ぎもせずにじっとしていた。


だって、何を言っても、きっとライガを困らせてしまう。



「嘘を吐くのも良くないけど、何も言わないのも良くない。我慢してんなら尚更……」


そう言われた途端、今まで必死に堪えてきたものが、私の口から一気に溢れ出た。



「ライガは凄く優しいけど、でも、そうじゃないライガも私は知ってる。姫花ちゃんに冷たかったりとか。色んな噂も聞いたし。噂は噂だから、全部鵜呑みにしてる訳じゃないけど。でも、どれが本当のライガかわからなくって。全部が嘘なんじゃないかって。どれが……ねぇ、どれが本当のライガ?」


一息に吐きだして、恐る恐るライガを見上げた。

右腕は私の頭を抱いたままで、ライガは左手も耳の上の髪を掻き上げるようにして私の顔の横に添えた。そうしてじっと私を見詰める。


何か考えているように、瞳を微かに揺らしたライガ。やがて――


「どれも全部、本当の俺だよ」


泣きそうな顔で苦笑しながら、ポツリと呟いた。