pianissimo.

「ああ、どうも。いらっしゃい」

一瞬驚いたように目を見張るも、すぐにお兄さんは、ふんわり微笑んだ。



想像以上に厳つい。正に『ラオウ』だ。金に近い明るめの短髪。日焼けした浅黒い肌。ライガも相当背が高いと思っていたけど、それ以上に大きい。体格も良くて、何ていうか……岩、みたい。



「そこで怪我してて、そんで消毒を……。ね?」

ライガが私に向かって同意を求めるから、「はい」と答えて頷いた。


「へぇ……。消毒ねぇ……」

言ってお兄さんは意味深な笑みを浮かべた。おっしゃりたいことは、よーくわかります。消毒するだけだったら、奥の部屋までは入りませんよね、普通。


けれど、それ以上突っ込むようなことはせず、「喉乾いた」と呟いてキッチンへ向かった。


すぐさまライガは後ろ手に襖を閉めた。


「ごめん、先輩。ほんとごめん。送るわ」

私のすぐ傍に両膝を落とし、ライガが申し訳なさそうに小声で謝る。