pianissimo.

「兄貴、お帰り。今日、はえーな」

「ん、早く終わった。誰か来てんのか?」


お兄さんの声だ。ライガにちょっと似ている。そして、何故、私が居ることがバレたんだろう?


「え? ああ、うん。友達」

「このサイズ……女の子だろ?」

からかうようにお兄さんが言う。『サイズ』? ああ、そうか、靴だ。私の靴が玄関に……。


「ちょっ、待てって兄貴」

「何だよ? 紹介しろって」


うわっ。お兄さん、こっちの部屋に入って来ようとしてるっぽい。

大慌てで押入れから出て、部屋のど真ん中に正座した。


直後、両開きの襖が同時に左右に開いた。良かった、間に合った。



「こ……こんにちは」

見上げて無理矢理に笑顔を作った。緊張し過ぎて、心臓がバクバク有り得ないぐらいにうるさい。