pianissimo.

すぐにライガは、スプレー式の消毒薬を手にして戻って来た。そうして私のすぐ傍に膝を落とし、「見せて」と言う。


「貸して。自分でやるから」

視線を合わせず俯きがちにそう言い、ライガに向かって右手を差し出した。だって恥ずかしい。



「あのさ、俺、そのずっと奥も見てるけど?」

そう言われて視線をライガにやれば、意地悪な、でもどこか柔らかい笑顔。たちまち顔全体が熱を持ち、視界もぼやける。


「そういうこと言わないで」

余りの恥ずかしさに、また視線を外してライガの左肩を手の平で軽くトンと押した。ライガは、面白がって軽い笑い声を上げる。もう……。




結局、スカートを捲り上げてライガに消毒して貰った。こんなの自分で出来るのに。


「先輩、どんくさい」

冗談ぽく、からかうように言ったライガ。けれどそれは、何となく不満げに聞こえた。


「転ぼうと思って転んだ訳じゃないよ」

負けじと反論すれば、

「もっと気を付けてって言ってんの」

何故か私、怒られました。