pianissimo.

「うん、大丈夫。というか、あなたの方こそ大丈夫?」

「ああ……俺?」

ライガはまた口角を微かに上げて、その中の白をチラつかせた。多分……。愛想笑いか苦笑のどちらか。



「歩ける?」

「うん、歩ける。てか、歩く」

言って、ようやく私から離れて自分だけで立った。まだまだ不安定な足元。ライガの身体はゆーらゆーらと頼りなげに揺れている。


目の前からちっとも去ろうとせず、じっと私を見下ろすその顔は、何か物言いたげに見える。私も同じようにじぃーっと見詰め返して、ライガが口を開くのを何となくワクワクしながら待っていた。